Narrative - 『傘をもたない蟻たちは』加藤シゲアキ
きょうもどこかで、誰かがずぶ濡れになっている。
傘を差し出す者はない。
こんばんは。冬眠する雪だるまです⋆̩☂︎*̣̩
アイドル・NEWSとしても活躍する加藤シゲアキさんの短編集『傘をもたない蟻たちは』
わたしがキャッチコピーつけるならこんな感じかなあ。と思ったのが冒頭です。
全6話、文庫は全7話からなる短編集。
どこか息苦しさを抱えながら無理やりに生きている様子の人々が、各話の主人公になっています。
一番お気に入りなのは「イガヌの雨」
ある日突然空から降ってくるようになった未知の生物「イガヌ」を、完全栄養食品として食する人々が暮らす近未来が舞台となったお話です。
「イガヌ」は法的に、18歳まで食べることを禁じられています。逆にいえば、18歳以降は食べてもいい世界だった。にもかかわらず、主人公の祖父はそれを食べることを家族に許さなかった。
そのルールを破ってしまった主人公・美鈴は、祖父がそれを禁じていた理由を、祖父の死後に知ることとなります。
正義感と欲の狭間で揺れる主人公の苦しみを鮮明に感じ取れ、同時に人間のもつ醜さをまざまざと見せつけられるような
苦しくも共感できてしまう一作でした。
ヨエル書
1:5
酔っぱらいよ。目をさまして、泣け。すべてぶどう酒を飲む者よ。泣きわめけ。甘いぶどう酒があなたがたの口から断たれたからだ。
2:14
主が思い直して、あわれみ、そのあとに祝福を残し、また、あなたがたの神、主への穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒とを残してくださらないとだれが知ろう。
醜いところなんて誰しもあって、まだまだ足りないところもたくさんあって、完璧な人間なんていません。
だからこそ、その醜さを認めて、戦う正義感が必要なのではないでしょうか。
正義感を持ち続けることは、本当に難しいことだけれど、不安や恐れや苦しみを抱えないでいられるようになるためには、
自分のもつ正義感たる心に素直になることが、必要不可欠だと思います。
簡単に完璧にはなれないけれど、少しでも醜さを捨てて、正義感を強くもてるようになりたいですね。
それではまた。
ps.
タイトルにした Narrative は、NEWSのアルバム『STORY』収録の、加藤さんのソロ曲から。
物語を意味する英語です。
小説家・加藤シゲアキの思想が好きな人は、ソロ曲の世界観も好きだと思います。
特に、アルバム『NEVERLAND』以降のNEWS 4部作収録のソロ曲、舞台演出も含めて世界観が最高なので聴いてほしい。是非(宣伝)
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