Letter - 『残像に口紅を』筒井康隆
しばらくは 知らない と言われるばかりだったのに、この夏を境に なんか流行ってるやつ! と言われるようになった小説があります。
筒井康隆さんのSF小説『残像に口紅を』
主人公は小説家。話がランダムに文字が消えていくことを、ややメタ視点で語られる小説です。
例えば、この世界から「あ」が消える。
すると、愛もあなたもなくなって、アルパカも、君の近くの「あつしくん」も「あいちゃん」も「あきこさん」もいなくなる。
しかも、元から無いものとして扱われるようになるから、文字が消えたことを知らない人々は、誰かがいなくなったことさえも気が付かない。
逆に、文字が消えたことを知っている主人公は、言い知れぬ虚無感に襲われている。
要するに「とうみんするゆきだるま」のうち、一文字でも消えれば、わたしの存在はこの世になかったことになるんです。
まぁコレ本名じゃないので、運良く残る可能性はありますが。
と書き出してみて、1文字も本名と被ってなくて笑いました。Webで生きていけなくなるだけで、どうやら実体としては残れそうです(笑)
話が逸れた…
わたしは創作クラスタなので、この小説と同じように、「あ」の文字を使わずにショートショートを書いてみたことがあります。
もうめーっちゃ難しかった(笑)
それで、書いてる時に思ったんです。
消すならどの文字だろう。消えて欲しい文字はあるだろうか。って。
結局、心から消えて欲しいと思える文字はありませんでした。
わたしの預かり知らぬところで誰かの大切な人が消えるのが怖いから。
それから、多少苦手な人はいるけれど、その人が消えたような気がするのがわたしだけの世界になったら、わたしはきっと言い知れぬ罪悪感に苦しむから。
ヨハネの手紙 第一 4:18
愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します。なぜなら恐れには刑罰が伴っているからです。恐れる者の愛は、全きものとなっていないのです。
どんな人にも愛をもって、おそれないで関われるようになりたい。
そんな当たり前のことに、改めて気付かせてくれた一冊でした。
それではまた。
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