Tanka - 『てんとろり』笹井宏之

ご無沙汰しています。
冬眠準備でもしているかのような忙しさにかまけて、ブログの投稿をサボりました(笑)
本当に冬眠したい雪だるまです☃︎

さて、みなさんは短歌を読んだことはありますか。
ここを見てくださる方の多くは、おそらく本好きだろうと思うのだけれど
そのなかでも、短歌(というか詩歌)を読む方って、案外少ないなと感じています。

短歌は学生時代の国語以来読んでないなぁ。なんて方も、少なくないのでは。
今日の表題にもした『てんとろり』は、歌人・笹井宏之さんの第二歌集です。

笹井宏之さん、独特の世界観で かなり透明な歌が多い印象があります。
例えば、先の画像にも載せたこの歌。

「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい

社会的には弱者の視点で、主体(短歌の主人公を指します/≠作者)が懸命に生きている姿が描かれているような、そんな透明感がありませんか。
他にも、
この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい
この歌はちょっと、自嘲気味な感じがしたり、

しあきたし、ぜつぼうごっこはやめにしておとといからの食器を洗う
ため息が聞こえてきそうな歌もあったり。

毎日を疲れた顔で送る人たちに、ちょっと休憩しませんか、と手渡したくなる歌が多いです。


笹井宏之さんだけでなくて、現代短歌と言えば とあげられる歌人はたくさんいます(ほんとうにたくさん)。
私の入口は、国語の教科書にもお名前のある俵万智さんでした。
甘くて愛らしい感じの歌が多いかなあ。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
秋はもういい匂いだよ早く出ておいでよ八つ手の花も咲いたよ / 俵万智


それから、しんどかった時期に、わかるわかる苦しいよなと寄り添ってくれた心地がしたのは、岡野大嗣さんと木下龍也さんの歌。

もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使 / 岡野大嗣
からっぽの病室 君はここにいた まぶしいくらいここにいたのに
それは風、もしくは言葉寸前の祈りに近い叫びであった / 木下龍也

木下龍也さんの方が、より世界を斜めにシニカルに捉えていたり無力さを認めていたりする感じ。
ブラックジョークが好きな方にはオススメかも。


死にたいばかりだった時を乗り越えて今があるのだけれど、当時心地よくて手にしていたものを並べてみれば、
案外、苦しい。でも生きたい。というものが多くて驚くことが度々あります。

ローマ人への手紙 8:28
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。

今は全部、教わったので。感謝するばかりの毎日です。
それではまた。
良き祝日を!

と或るクリスチャンのビブリオ

ろんと申します。クリスチャン目線で、読んだ本や漫画、映画の解説・感想、日常の事を書いております。

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